請求書処理とは
請求書処理は毎月必ず発生する業務でありながら、受領方法の多様化や法制度への対応により、経理担当者の負担が大きくなりやすい領域です。
紙とメール、Webからのダウンロードなど形式の異なる請求書を取りまとめ、期日までに正確に支払うためには、業務の流れを整理し、効率化の仕組みを整えることが欠かせません。
本記事では、請求書処理の基本的な流れから、押さえておきたい法制度、よくある課題と効率化の方法までまとめて解説します。
はじめに、請求書処理の全体像を整理しておきましょう。本章では、請求書処理の定義と種類について解説します。
受領した請求書の確認から支払・保管までを行う業務
請求書処理とは、取引先から受け取った請求書の内容を確認し、社内承認や仕訳を経て支払を行い、支払後の請求書を保管するまでの一連の業務を指します。
金額や支払期日を扱う業務であるため、処理を誤ると支払漏れや二重払いにつながり、取引先との信頼関係にも影響しかねません。
毎月必ず発生する定型業務でありながら、正確性とスピードの両方が求められる点が、請求書処理の特徴といえます。
請求書処理には「発行」と「受領」の2種類がある
請求書に関する業務には、自社が代金を請求するために請求書を作成・送付する「発行業務」と、取引先から届いた請求書をもとに支払を行う「受領業務」の2種類があります。
発行業務では、締め日ごとにまとめて請求する締め請求や、取引のたびに請求する都度請求など、取引先との取り決めに応じた対応が必要です。
一方の受領業務では、内容確認から支払、保管まで多くの工程が発生します。本記事では、特に負担が大きくなりやすい受領側の請求書処理を中心に解説します。
発行側の請求書処理の流れ
まずは、自社が請求書を発行して代金を回収するまでの流れです。本章では、発行側の請求書処理を5つのステップに分けて解説します。
ステップ1|請求内容を確認し請求書を作成する
はじめに、納品書や契約書をもとに取引内容と金額を確認し、請求書を作成します。請求方法には、一定期間の取引をまとめて請求する「締め請求」と、取引のたびに請求する「都度請求」の2種類があります。
締め請求の場合は取引先の締め日に合わせて発行するのが一般的で、対象期間の明細と合計額を正確に記載しなければなりません。
インボイス制度に対応する場合は、登録番号や税率ごとの区分など、適格請求書の記載要件を満たしているかも確認しましょう。
ステップ2|請求書を発行・送付する
作成した請求書は、社内承認を経て取引先へ送付します。送付方法は郵送のほか、メール添付のPDFや請求書発行システム経由など、取引先との取り決めに応じて選択します。
送付のタイミングが遅れると入金の遅延につながるため、締め日から発行までの期日をルール化しておくことが大切です。
請求漏れを防ぐには、取引先ごとの請求部門や担当者をあらかじめ決めておき、案件と請求書を突き合わせて確認する体制を整えましょう。
ステップ3|売上を仕訳・記帳する
請求書を発行したら、売上と売掛金を会計帳簿に記帳します。帳簿への記帳は会社法で義務付けられており、決算書の作成や経営判断の基礎となる重要な作業です。
請求データと会計ソフトが連携していない場合は手作業での転記が必要になり、入力ミスが起こりやすくなります。
請求書発行システムと会計ソフトを連携させれば、転記作業を減らして正確性を高められます。
ステップ4|入金を確認し消込を行う
支払期日を迎えたら、請求金額どおりに入金されているかを確認し、売掛金の消込を行います。消込とは、帳簿上の債権と実際の入金を突き合わせて回収済みであることを確定させる作業です。
振込名義が請求先と異なる場合や、複数の請求がまとめて入金される場合もあり、件数が多いと照合に手間がかかります。
期日を過ぎても入金がない場合は、取引先への連絡や督促状の発行など、回収に向けた追加の対応が必要です。
ステップ5|請求書の控えを保管する
発行した請求書の控えは、法律で定められた期間の保存が必要です。特に適格請求書を交付した場合は、その写しを7年間保存することが義務付けられています。
控えは入金確認や税務調査の際に参照するため、取引先や発行日ごとに整理して保管しましょう。
電子データで発行した請求書の控えは、電子帳簿保存法の要件に沿って電子のまま保存する必要があります。
受領側の請求書処理の流れ|7つのステップ
続いて、取引先から届いた請求書を処理する流れです。本章では、受領側の請求書処理を7つのステップに分けて解説します。
ステップ1|請求書を受領する
まずは、取引先から請求書を受領します。受領方法は郵送のほか、メール添付のPDF、Web上の専用サイトからのダウンロードなど多様化しています。
郵送の場合は開封と宛先確認の作業が発生し、メールやWebの場合はダウンロードやファイルの保存作業が必要です。
受領漏れを防ぐためには、取引先ごとの受領方法をあらかじめ把握し、届いた請求書の受領日を記録して管理することが望ましいです。
ステップ2|請求内容を確認する
請求書を受領したら、発注書や納品書と照合しながら、取引内容と金額の整合性を確認します。
確認すべき主な項目は、請求金額、消費税の税率と計算、支払期日、振込先口座、振込手数料の負担区分などです。適格請求書の記載要件や登録番号の有効性も、あわせて確認しましょう。
内容に不備があった場合は、取引先へ連絡して請求書の再発行を依頼する必要があります。
ステップ3|支払依頼書を作成し承認を得る
請求内容に問題がなければ、支払依頼書を作成して社内承認を得ます。支払依頼書とは、請求書に記載された代金の支払を経理部門に依頼するための社内文書です。
請求書は各部署の担当者宛に届くことが多いため、支払依頼書には請求書番号や支払先、金額、支払期日などを明記し、上長の承認を経て経理部門へ提出します。
承認ルートが整備されていないと処理が滞りやすいため、あらかじめ社内の承認フローを明確にしておくことが大切です。
ステップ4|仕訳・記帳を行う
承認が完了したら、経理担当者が請求書の内容を会計帳簿に記帳します。請求内容に応じて適切な勘定科目を選び、買掛金や未払金として計上します。
手作業での転記は入力ミスが起こりやすいため、会計ソフトへの取り込みやシステム連携を活用すると正確性を高められます。
ステップ5|期日までに支払を行う
記帳が完了したら、請求書に記載された支払期日までに振込などの方法で支払を行います。支払漏れや遅延は取引先との信頼関係に直結するため、期日管理は特に重要です。
複数の請求書をまとめて支払う場合は、ネットバンキングの総合振込を活用すると効率的です。振込先や金額の手入力は誤りが発生しやすいため、二重チェックの体制やデータ連携の仕組みを整えておきましょう。
ステップ6|消込処理を行う
支払が完了したら、買掛金や未払金の残高を減らす消込処理を行います。帳簿上の債務と実際の出金を突き合わせることで、支払済みであることを確定させます。
消込を適切に行えば、未払いの請求書や二重払いの有無を把握でき、支払漏れなどのミスを防げます。取引件数が多い場合は、銀行口座と連携した自動消込の仕組みも有効です。
ステップ7|請求書を保管する
受領側の請求書処理の最後のステップは、支払済み請求書の保管です。請求書は法律で保存期間が定められており、税務調査などの際に提示を求められる場合があります。
紙の請求書はファイリングして保管し、電子データで受領した請求書は電子帳簿保存法の要件に沿って電子のまま保存します。
必要なときにすぐ取り出せるよう、取引先や日付ごとに整理した管理体制を整えておくことが重要です。
受領側の請求書処理を効率化する方法を検討する際は、請求書振込に特化したサービス「フリコム」もあわせてご検討ください。
請求書PDFをアップロードするだけで振込データを自動作成できるので、ぜひ気軽に試してみてください。
請求書処理で押さえておきたい法制度
請求書処理では、発行側・受領側の双方で法制度への対応が欠かせません。本章では、実務で押さえておきたい3つのポイントを解説します。
請求書の保管期間は法人7年・個人事業主5年
受領した請求書や発行した請求書の控えは、法人の場合は原則7年間、個人事業主の場合は原則5年間の保存が義務付けられています。ただし、青色申告で欠損金の繰越控除を受ける法人は10年間、消費税の課税事業者である個人事業主は7年間の保存が必要です。
注意したいのは保管期間の起算点です。法人の場合、請求書の発行日や受領日ではなく、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から起算します。
例えば3月決算の企業であれば、申告期限である5月末の翌日から7年間の保管が必要です。誤って早く処分しないよう注意しましょう。
電子帳簿保存法により電子取引の請求書は電子保存が必須
電子帳簿保存法の改正により、2024年1月からはメール添付のPDFなど電子取引でやり取りした請求書を、紙に印刷して保存する方法が認められなくなりました。
電子データで受領した請求書も、電子データで発行した請求書の控えも、改ざん防止措置や検索要件を満たした形で電子のまま保存する必要があります。
紙で受領した請求書についても、スキャナ保存制度を活用すれば電子化して保存できます。紙と電子が混在する管理を解消する手段として、保存要件に対応したシステムの活用が有効です。
インボイス制度により適格請求書の交付・保存が必要
2023年10月に開始されたインボイス制度は、発行側・受領側の双方に影響します。
発行側の適格請求書発行事業者には、登録番号や税率ごとの消費税額など記載要件を満たした適格請求書を交付し、その写しを保存する義務があります。
受領側では、仕入税額控除を受けるために適格請求書の保存が原則必要です。届いた請求書が記載要件を満たしているか、登録番号が有効であるかを確認する作業が加わるため、国税庁のデータと自動照合できるシステムを活用する企業も増えています。
法制度への対応を効率化したい場合も、「フリコム」のようなシンプルな請求書受領サービスの活用が選択肢になります。
複雑な設定を必要としないので、ぜひ一度サービス内容を確認してみてください。
請求書処理でよくある課題
請求書処理は工程が多く、発行側・受領側それぞれに課題が生じやすい業務です。本章では、よくある5つの課題を解説します。
発行側|作成・郵送に手間とコストがかかる
紙の請求書を発行する場合、作成から印刷、封入、郵送まで多くの工程が発生します。用紙代やインク代、郵送費に加え、作業にかかる人件費も軽視できません。
請求書の枚数は取引先や案件数に比例して増えるため、繁忙期にはさらに負担が大きくなります。
郵送では取引先に届くまでのタイムラグも生じるため、発行が遅れるとその分入金も遅れやすくなります。
発行側|入金確認や督促の負担が大きい
発行後の入金確認や消込は、取引件数が多いほど照合に時間がかかる作業です。振込名義の違いや複数請求の合算入金など、機械的に突き合わせできないケースも少なくありません。
未入金があれば取引先への連絡や督促が必要になり、回収が遅れると自社の資金繰りにも影響します。
請求から回収までの状況が可視化されていないと、対応漏れのリスクも高まります。
受領側|受領方法やフォーマットが統一されていない
請求書のフォーマットや送付方法は取引先ごとに異なり、郵送やメール、Webダウンロードなどバラバラに届くため、取りまとめに手間がかかります。
紙と電子データが混在すると、それぞれ異なる方法で保管しなければならず、必要な請求書を探し出すのにも時間がかかります。
受領方法が統一されていないことは、後続の確認・入力・保管すべての工程に影響する根本的な課題といえるでしょう。
共通|手作業のミスと月末月初の業務集中が起きやすい
請求書の作成や会計ソフトへの転記、振込データの入力を手作業で行うと、金額の誤りや請求漏れ、支払漏れといったヒューマンエラーが発生しやすくなります。
また、請求書は月末締めで発行されることが多く、発行・受領いずれの処理も月末月初に集中しがちです。限られた期間に大量の請求書を扱うため、担当者の残業やミスが増える要因になります。
業務が属人化していると、担当者の急な欠勤時に処理が回らなくなるリスクも抱えます。
請求書処理を効率化する方法
請求書処理の課題を解決するには、業務の見直しと仕組みの導入を組み合わせることが効果的です。本章では、発行・受領に共通する効率化の方法を4つ解説します。
業務フローと社内ルールを見直す
まずは発行・受領それぞれの処理の流れを可視化し、無駄な工程や滞留しやすいポイントを洗い出しましょう。誰がどの工程を担当するのか、承認ルートはどうなっているのかを整理します。
発行側では取引先ごとの請求部門や発行期日を、受領側では受領方法や確認項目のチェックリストをルール化することで、漏れとミスを防げます。
フローの整理は、システム導入の効果を最大化するための土台にもなります。
請求書のペーパーレス化・電子化を進める
紙の請求書を電子化することで、発行側は印刷・封入・郵送のコストと手間を削減でき、受領側は保管スペースの削減や検索性の向上を実現できます。
電子化した請求書はデータ上で回覧・承認できるため、押印のための出社や承認待ちの滞留も解消できます。
電子帳簿保存法の要件を満たした保存体制を整えれば、法対応とペーパーレス化を同時に進められる点も大きな利点です。
請求書発行システム・受領サービスを導入する
発行業務には、請求書の作成から送付、入金管理までを自動化できる請求書発行システムが有効です。会計ソフトと連携すれば、売上の記帳や消込の負担も軽減できます。
受領業務には、多様な形式で届く請求書の受け取りやデータ化、支払管理までを効率化できる請求書受領サービスが適しています。OCR(文字の自動読み取り)機能により手入力の工数とミスを大幅に削減できます。
毎月の請求書件数が多い企業ほど効果を実感しやすく、月末月初の業務集中や属人化の解消にもつながる方法です。
アウトソーシングを活用する
請求書の発行代行や、開封・スキャン・データ入力といった定型作業を外部の代行会社へ委託する方法もあります。社内のリソースを確認や判断が必要な業務に集中させられる点がメリットです。
経理人材の採用や教育にかかるコストを抑えながら、繁忙期の業務量変動にも柔軟に対応できます。
ただし、委託範囲や情報管理の体制は事前に確認が必要です。自社に残す業務と委託する業務を整理したうえで活用を検討しましょう。
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まとめ|発行・受領の流れを整理して請求書処理を効率化しよう
請求書処理には、自社が請求書を発行して代金を回収する「発行業務」と、届いた請求書をもとに支払を行う「受領業務」の2種類があります。発行側は作成から入金消込まで5つのステップ、受領側は受領から保管まで7つのステップで構成されます。
法人7年・個人事業主5年という保管期間のルールに加え、電子帳簿保存法やインボイス制度への対応は発行・受領の双方に求められます。作成・郵送の負担や入金確認、受領方法の不統一、紙ベースの承認など、それぞれに課題を抱えやすい業務です。
効率化を進めるには、業務フローの見直しやペーパーレス化に加え、発行システムや受領サービスの活用が有効です。
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